近未来EC研究会 第2回「インタフェイス」開催概要 (#fecs)

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GMO-VP×GMO-PG「EC・決済ラボ」主催
近未来EC研究会 第2回「インタフェイス」

ECの可能性をラディカルに議論する「近未来EC研究会」(コンセプト)第2回イベントを2010年9月8日(水)に開催します。テーマは「インタフェイス」です。

当日はUSTREAMでの中継を行います。ただし、プレゼンテーションやパネルディスカッションではないので、番組としてはあまり面白いものにならないでしょう。参加して体験しなければ分からない価値を提供したいと思います。

開催趣旨

iPadなどのタブレットや、最新ブラウザに搭載されつつあるHTML5などの新たなインタフェイス技術が普及しつつあります。それによって、いまのEC体験を制限している技術的制約は緩和されていきます。それは、よりよいEC体験のデザインが可能になることを意味します。

そのようなデザインに際して、まず技術的制約から考えるアプローチがあります。前述のような技術進歩のトレンドに従い、「新たな技術で出来るようになること」から発想するアプローチです。「技術的制約の中で実現可能なことを考えるアプローチ」とも言えます。このアプローチでは、まずは技術の規格や仕様を確認することから始め、次にそれを制約条件としてデザインに取組むことになるでしょう。

一方、我々のアプローチは異なります。我々は望ましいEC体験から考えます。まず制約を取り払って構想し、その次に制約の中で現実的に実現可能なことへ立ち返る、というアプローチです。このアプローチでは、最初に「本来どのようなEC体験が望ましいのか」を考えて、次にそのような理想の実現を阻む技術的制約を確認することになります。

イベント形態

本イベントでは、参加者同士で対話し、手を動かしながら望ましいEC体験を考えるワークショップを実施します。ブレイン・ストーミングやKJ法(カード・ソーティング)などのグループワークでアイデアを出します。なるべく楽しいワークショップになるようにしたいと思います。

アウトプットすることが好きな人を歓迎します。売り手や買い手として、いまのECに言いたいことがある人や、よりよいEC体験のアイデアがある人を歓迎します。

ワークショップの「お題」も募集します。

例:
ユーザーとして
「いま買わずに保留するのが不便」
「カード番号を入力するのが面倒くさい」
売り手として
「カートの放棄率が高すぎる」
「滞在時間が短いのはなぜ?」
「購入時に『お店からのお知らせを受信する』のチェックが外されてしまう」
など。

ふるってご応募ください。

開催概要

2010年9月8日(水)19:00-21:30(開場:18:45)
※USTREAM中継あり。
※イベント終了後、懇親会。

東京都渋谷区道玄坂1-14-6 渋谷ヒューマックスビル7F(地図
GMOペイメントゲートウェイ株式会社の会議室にて。
※懇親会は付近の飲食店にて行います。  

公募定員:10人
主催:GMO-VP×GMO-PG「EC・決済ラボ」
企画・運営:ゼロベース

参加申込

参加応募フォームからお申し込みください。

一次締切は8月30日(月)23:59です。一次抽選結果を9月1日迄にご連絡します。

欠員が出た場合は補欠当選があります。参加申込は前日(9月7日)まで受け付けます。

近未来EC研究会 第1回 討論(3) 試着のEC化 (#fecs)

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(※本記事は近未来EC研究会 第1回「オンライン・ショッピング」のレポートです)

店舗とネットの関わり」についての議論をうけて、新しい消費(購買)体験の可能性についての議論になりました。まずは店頭における服飾品の「試着」体験をウェブと接続できないかという検討です。

試着のEC化

「店舗で洋服を試着して購入する」というケースについて検討しました。一人で来店するパターンでは、試着・検討・判断まで一人で完結する人もいれば、販売員の意見を聞いて判断する人もいます。また、友人・恋人・家族と共に来店し、試着して意見をもらって判断するという人もいます。あるいは、事実上、判断するのが本人ではないパターンも(例:妻が夫のファッションを決定している夫婦)。

キーワードは「ソーシャル(社会的、社交的)」です。洋服を購入するのは、しばしばソーシャルな行動です。そこで、すでにあるソーシャルな行為を、ウェブによってより促進したり、障害を取り除いたりできないか、と考えました。

そこで、ZARAがFacebook上で実験した事例が紹介されました(出典不明)。ZARAの店舗で試着した際に、自分の姿を写真撮影し、Facebookに送ってフレンドのフィードバックをもらう仕組みを提供した実証実験とのことです。もし「店頭販売において一人客は試着後の購入率が低い」という事実があったとすると、これにより一人客の試着後購入率が高まる可能性があります(おそらく、そういう仮説での実証実験ではないかと)。

※追記:ZARAではなくDIESELでした:店舗で試着した写真をすぐにFacebookで共有する試み by ディーゼル | リアルタイムウェブ.jp

これを消費者の側から考えてみます。試着した後にも悩んでいるときは、どちらかというと買わないことが多い、という人もいるのではないでしょうか。「買う」という決断は、取り返しがつきませんが、「買わない」という決断は「保留」でもあります。意思決定にはYES(肯定)、NO(否定)、NOT NOW(保留)の3通りがあり、「買わない」はNOとNOT NOWの両方を含んでいるといえます。

ただし、よほど気になる商品でなければ、「保留」して帰宅したのち、その商品が気になっていたことを忘れてしまうかもしれません。NOT NOWのつもりが、FORGOT(忘却)になってしまう。あるいは、覚えていたとしても、試着した印象が徐々にあせていき、また店に行くのも面倒だし、「もういいや」となってしまうかもしれません。もし、その商品が自分に似合っていたとしたら、その人にとっては損失です。つまり自分に似合う商品を手に入れる機会の損失です。

もちろん、フレンドの(ネガティブと本人が受け止めるような)フィードバックによって、買わなくなる場合もあるでしょう。それも含めて、総合的には、おそらくこのような仕組みを適切にデザインできれば、店舗の売り上げ増と、消費者・来店者のよりよい体験の両方を実現できる可能性があると思います。

ここにイノベーションの種があるかもしれません。上述のような「理想的でない状況」に解決できるかもしれない問題を発見し、素晴らしい解決策を提案できる可能性が。

なお、次のような未解決の問題があります。試着の印象についてウェブを通じてフレンドからフィードバックを得たいという期待は、時間の制約を受けます。フィードバックは5分、15分といったスパンで欲しいのではないでしょうか。そのような時間でフレンドのフィードバックを得られる可能性は(もちろん人それぞれですが)そこまで高くない、という人が多いかもしれません。フィードバックを得られる期待が低ければ、そのような行動はなされないわけですから、どのようにリアルタイム性を確保(あるいは「緩い保証」)するか、が未解決問題です。

なお、ここでいう「イノベーション」は、必ずしも新しい商品・サービスを意味しません。消費者にとってより良い体験は、既存の道具をうまく使うこと(工夫)によって実現される場合もあります。上述の例では、Facebook、Twitter、mixiなどの既存ソーシャルウェブサービスを上手く使う「イノベーティブな作法」が発見できるかもしれません。その場合、イノベーションの担い手は、ウェブサービス提供企業ではなく、消費者と小売店ということになるでしょう。

以上、「試着のEC化」でした。

発想のヒント:INTERACTIVE MIRROR

「イノベーティブな作法」の例:YouTube - SOUR '日々の音色 (Hibi no neiro)'

補足:店頭で手に取ったり、試着した商品が、自動的にデータベース化され、後日ウェブ上から購入できる(通販)という形で再来店不要にするデザインの可能性についても検討しました。

余談:商業におけるデザイン(人間中心デザイン/ユーザー体験デザイン)の役割について考える事があります。「経済活動の摩擦・損失を減らすこと」によって貢献できるのではないかと。通常、自由な(強制されない)取引は、売り手と買い手の双方の利益になります(もちろん、粗悪品を売りつけられたり、買ったら後悔せざるを得ないような商品を、一時的な気の迷い(の誘導など)で買ってしまうのは「双方の利益」ではありません)。しかし、「起こり得るべき取引」が起こらない事態があります。それを売り手の言葉では「機会損失」と呼びますが、買い手にとってもまた「機会の損失」であると考えます。そのような「機会損失」を減らすことが、デザインにはできると思います。余談でした。

(次の記事に続きます)

※注:これは発言録ではなく、参加者の総意・合意事項でもなく、私(石橋)の観点で議論を整理した報告書という位置付けです。

近未来EC研究会 第1回 討論(2) 店舗とネットの関わり (#fecs)

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(※本記事は近未来EC研究会 第1回「オンライン・ショッピング」のレポートです)

モールと独自ドメイン型のショップ形態」に関する議論に続いて、議論の対象がオンラインからオフラインへと広がりました。

店舗とネットの関わり

「洋服は店舗で買う。ネットで買うのはどんな人なんだろう?」という素朴な疑問から議論が展開しました。まだまだネットで服を買う人は少ないかもしれないが、あるブランドはとても売れている。写真にすごく力を入れている。商品のラインやモデルを絞って展開している。消費者は「型番」で商品(モデル)を認識し、店舗で試着したうえでネットで買う、といった行動もできる。

商品(モデル)と型番の流れで、議論の対象は量販店の家電売り場に転じます。「金融日記:資本主義の罪と罰 -ビックカメラ有楽町店での薄型テレビをめぐる攻防-」というタイムリーな話題にも言及しつつ、「量販店で触って、調べて、店員に相談して、ネットで買う」という行動に関する議論です。たしかにそういう人は増えているけれども、まだまだ消費者全体に占める割合は少ないのではないか、という指摘。ネットで価格検索する人でも、実際に量販店で店員の親切な接客を受ければ、そこで買ってしまうような「いい人」のほうが、まだまだ多いのではないか。ただし、長期的にどうなるかは分からないが。

ここで一つの指摘がありました。いわゆる「ナショナルのパパママショップ」的な商店が、郊外モールの影響を受けつつも成りたっている例。電球一個の交換から手厚くサポートすることで、地元の消費者と緊密な関係を築き、高額商品の買い替え需要を掴んでいる。地域密着型の小売業は、サポートを通じて顧客のライフタイムバリューを高めることができるかもしれない。

都市空間には匿名的な仮住まいの住人(例えば上京者)が多い。しかし、長く住むつもりの地元では、店員が知りあいだったりする。匿名的な売り手と買い手ではなく、人間関係が前提にある。

メーカー、量販店、地域密着型電器店、ECサイト、そして消費者。この5者の関係・構造をどう見るか。ウェブにできることは無いか。販売後のサポートも含む体験全体を、よりよくデザインできないか。そういった問題提起だといえます。

次の記事(試着のEC化)に続きます。

※注:これは発言録ではなく、参加者の総意・合意事項でもなく、私(石橋)の観点で議論を整理した報告書という位置付けです。

近未来EC研究会 第1回 討論(1) モールと独自ドメイン型ショップ (#fecs)

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(※本記事は近未来EC研究会 第1回「オンライン・ショッピング」のレポートです)

向畑氏のキーノートに関する質問から議論は始まり、様々に広がりました。以下、議論をトピック毎にまとめました。これは発言録ではなく、参加者の総意・合意事項でもなく、私(石橋)の観点で議論を整理した報告書という位置付けです。

ショップ形態:「モール」と「独自ドメイン型」

ネットショップの形態(モールと独自ドメイン型)について、次のような意見が出ました:いち消費者としては、最近は何かを買おうと思ったらとりあえず楽天に行く。楽天にはすべてがあり、検索すれば何か見つかる。独自ドメイン型ショップで買うことはなくなった。

つまり、消費者心理からの問題提起です:モールは便利なのに、わざわざ独自ドメイン型ショップで買う消費者がいるのだろうか/将来に渡って存在するだろうか。

これに対して、消費者として感じられる(独自ドメイン型の)メリットが指摘されました:メーカー直販の場合、在庫面や配達面(即日発送)のメリットがある。化粧品メーカーの直販では、『何かあっても、なんとかしてくれるはず』というブランドへの期待・信頼があって直販を選ぶ人が多い。

また、ショップ運営者として、モール出店に関する思惑が指摘されました:出店者としてはモールの出店料により利幅が薄くなることから、「脱モール化=独自ドメイン型への移行」を進めたいという思惑がある。一方で、モールの集客力は捨てられない。自前で集客できるなら、モールに出したくない。

さらに、二つのショップ形態での売れ方の違いが指摘されました:モールの顧客は試し買いが多く、独自ドメインの顧客はセット購入が多い。

将来のネットショッピング形態

ショップ形態(「モール」と「独自ドメイン型」)に関する議論を受けて、次のように考えました。

まず、キーノートの問題提起を仮説という形に直してみます:(1)「いずれネットショップへの流入元が、広告・検索からソーシャルにシフトしていく」という仮説、(2)「チェックアウト」サービスが普及するという仮説。

この二つの仮説から、次のような未来も構想し得ると思います。

第一に、「ショップ」の形態として、「モール」でも「独自ドメイン型」でもない第3の形態が登場・普及する可能性です。例えば「CMS+チェックアウト」のようなネットショップ形態。ネットショップ運営専用のシステムを使うのではなく、既存のCMSにショップモジュールを導入するような形です。

第二に、ソーシャルウェブサービスにおいて、コミュニケーションの文脈に沿って掲載・提示される、モジュール化された「ショッピング機能」(≠ショップ)の可能性もあるのではないでしょうか。「決済可能なバナー広告」「決済可能なウィジェット」のような。

ソーシャルウェブを起点にした消費が増えるときの消費者行動(ユーザー行動)は、「買いたいものがあるから楽天に行く」ではなく、「買いたいと思った瞬間、その画面に購入ボタンがあるので、そのまま買う」となるかもしれません。もしそうなったら、「ショッピングのポータル」としてのモールの存在感は(相対的に)低下するでしょう。

もちろん、「買いたいと思った瞬間に購入ボタンが見えていれば、すぐ買うか」といえば、必ずしもそういう行動ばかりではない、そんな簡単な問題ではない、というのは言うまでもありません。ただ、「ソーシャルウェブが消費の起点になる」としたら、「ショップ(shop)=店」から「ショッピング(shopping)=買うこと」への発想転換が必要になるはずです。提供者論理から、消費者論理へ、主観的なユーザー体験への、発想転換です。この「ユーザー中心」な考え方・アプローチは、本研究会の基本的なコンセプトです。

次の記事(店舗とネットの関わり)に続きます。

近未来EC研究会 第1回「オンライン・ショッピング」レポート(#fecs)

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近未来EC研究会第1回イベント「オンライン・ショッピング」を8月6日に開催しました(開催概要)。様々なバックグランドの参加者が、それぞれの知識や経験を披露しながらアイデアを出すことで、とても面白い議論になりました。

(お断り)それだけに、残念ながら録画・録音をそのまま表に出すことができません。テキストに起こして公開します。次回は全公開のUSTREAM中継も検討します。

全体の構成としては、設立趣旨発表(石橋)、キーノート(向畑氏)、ディスカッション(全員で)となっています。

本記事は「設立趣旨」および「キーノート」です。なお #fecs はTwitterのハッシュタグで Future Electronic Commerce Studies の略です。

設立趣旨

近未来EC研究会の発起人である石橋から、設立趣旨を発表しました。

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  • EC(Electronic Commerce)をユーザー体験デザイン(UXD)のアプローチでリデザイン(re-design)したい。
  • EC(電子商取引)の"E"(Electoronic)にとらわれず、むしろ"C"(Commerce)をユーザー中心(人間中心)に考えたい。
  • ユーザーの「主観的体験」全体を考えたい。

このようなコンセプトを具体的にイメージして頂くために、具体的な「EC体験」の一連のシナリオ例を紹介しました。

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最後の方のスライドを1枚引用します。 ECの体験は、ECサイトの中だけで起こっているのではなく、もっと幅広いものです。その一連の体験に目を向けましょう、というスライドです。

キーノート

私からGMOメイクショップ向畑社長(@muka)に「来るべき脅威もしくは機会についての問題提起的な発表」をお願いしました。以下の2点を挙げて頂きました。

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一つ目は「ネットショップの集客手段が、広告と検索から、ソーシャルウェブへと、移っていくのではないか?」というものです。

それに関して2点:(1)FacebookのトラフィックがGoogleを超えた。(2)ネットショップの運営者は日進月歩で新しいノウハウを開発してきたので、ソーシャルウェブによる集客手法も開発され、普及する可能性がある。

二つ目は「チェックアウトがあれば、ショップのASPは不要になるか?」というものです(GMOメイクショップは、ショップのASPを提供する会社です)。なお、「チェックアウト」とは、店舗ごとにアカウントを作る必要がなく、様々な店舗で共通のID/パスワードを使って決済できる機能のことです(例:Google Checkout、Paypal、Yahoo!ウォレット、楽天あんしん支払いサービスなど)。

それに関して4点:(1)インフラのデフレ化は宿命だ。(2)CMSが高度化・簡易化するだろう。(3)ユーザーのリテラシーも向上するだろう。(4)ネットショップの脱モール、独自ドメイン型へのシフトの先に、よりライトな形態としてチェックアウトが来るのでは。

脅威/機会の次に、「広義のEC化」という問題提起をして頂きました。「ECは手元に届くまでのトータルエクスペリエンス」だと考えた時に、「いまボトルネックなのはどこだろうか?」「オンラインの購買情報が、もっと宅配・物流でも活用できないだろうか?」といった問題提起です。例えば、Amazonがようやく「お届け日時指定便」に対応しましたが、裏返せば2010年まで実現していなかったということです。こういう、よりよい体験をデザインする余地は、まだまだあるはずだと。

以上が設立趣旨およびキーノートの概要です。次の記事でディスカッションの様子をお伝えします。

次の記事(「モール」と「独自ドメイン型」 )に続きます。