『デザイナは「本質」を考える』の番外編。
さあ、デザインよろしく。考えろ。といきなり言われても、何を考えていいか分からないだろう。
そんなとき、まず、すべきことは何か?
(略)
「何を考えるべきか」を考える(pre-thinking)。それしかないにきまってる。
「なぜ、なんのために、何を考えればよいのか?」という「原点」に立ち返って考えろ。これをしっかり理解する。理解できるまで考える。質問する。しまくる。答えがまだ与えられていなければ、クライアントと一緒になって自ら産み出す。見いだす。
そうすることで、「考えるべきこと」つまり「目標(GOAL)」が見えてくる。
そうすれば、あとは「考える(THINK)」だけだ。簡単だ。決して楽ではない。深く考えることは苦しい。ただ、目標(GOAL)が明確な道のりだ。どんなに苦しくても大丈夫。簡単だ。
考えることが難しい、つらい、苦しい、と言っている人の多くは、まず目標(GOAL)を明確にしないで考えていることが多い。
私に言わせると、なぜそんなことが可能なのか分からない。不可能に決まっている。論理的に言って。
「何を考えるべきか」を明確にせずに考える、というのは、明らかに矛盾している。
それって、一体、何について考えているんだ?
どんなに深く考えているつもりでも、考える方向性が間違っていれば意味がない。
最初に「はしご」を掛け違ったら、どんなに高く上っても、目的の場所には到達しないのだ。
コンパスを持っていれば遭難はしないけれど、目標地点がない航海に意味はないのだ。
目標が明確でなければ、その作業に意味はないのだ。
だから、いきなり考えるのではなく、最初にやるべきは「何を考えるべきか、を考える(pre-think)」ことだ。これをしない人、あるいは、これを「自分の仕事ではない」と思っている人が多い。実に多い。
さらには、いきなり手を動かすのは最悪だ。
デザイナなら、いきなりIllustratorをいじりだす。プランナなら、いきなりPowerPointをいじりだす。プログラマなら、いきなりプログラムを書き始める。いずれも最悪だ。
よく「手を動かしながら考える」あるいは「走りながら考える」という言葉を使う人がいる。注意して見てみよう。「考えることを放棄するときの言い訳」に使ってないか?そんなのは最悪だ。
考えるのは迷路を目隠しで進むような行為だ。苦しくて、大変だ。手を動かすのは簡単だ。すぐに仕事をしている気になれる。手を動かすことで、仕事をしている気分になれる。それに逃げてしまう。プロにとっては、逃げだ。甘えだ。
目標が明確になったあとで、「考えるために手を動かす」ことは良い。だが、聞きたい。考えるべきことを明確に理解しているのか?と。
この文章で言いたいことは単純だ。
- 手を動かす前に、考えたか?
- 考える前に、「考えるべきこと」を、きちんと考えたか?
これだけだ。
これができるプロフェッショナル(デザイナに限らず、プランナやエンジニアなども)は少ないと思う。しかし、こんな簡単なこと 〜単に仕事に取り組む姿勢と段取りだけの問題(体に覚え込ませるまでの鍛錬は必要だが)〜 ができることで、デザイナとしての価値は大きく高まる。間違いない。
デザイナという職業は、Pl(プランナ)やCD(クリエイティブ・ディレクター)の領域と重なっているのだ。
意欲的なデザイナのみなさんは、指示を受けて作業するだけでなく、どんどん「何を考えるべきか、を考える(pre-think)」という領域に踏み込んで欲しい(PlやCDの仕事を奪う勢いで)。
関連リンク