エイプリルフールにエア新書をリリースしました。これはジョークサイトですが、ある仮説の検証でもあります。「みんなエイプリルフールに参加したいのに、方法が提供されていない」という仮説。いわば「エイプリルフールに参加することの潜在需要」があるだろうと。
(エイプリルフール)×(新書)×(書評)=「エア新書」です。ゼロベース株式会社 ゼロベース、ウソ新書サイト「エア新書(airbook.jp)」をオープン。ブロガーのエイプリルフール記事執筆をサポート。
このプロジェクト、実際にやったことは、開発とプロモです。開発は方手間で数日間。プロモとしては、20件ほどエア新書(初期データとして)を仕込んでおいて、4月1日午前8時にプレスリリースを配信しました。くわえて、ZEROBASE BLOG、ZEROFACESに書きました。これが1日で1,500件に。7月16日現在、1万件を超えています。
当初は「身内、知り合いなどは義理で使ってくれるだろうから、それを超えて広まるかどうか」が指標だと思っていました。その「しきい値」は200件くらいかなと。ですから、投稿数としては成功です。
現状はむしろ「大成功」だと持っているのですが、我々の実力ではなく「まぐれ」のようです。このコスト(ほぼゼロ)で初日1,500件の投稿数は、ふつうのプロモーションの期待値からは外れています。異常値です。
影響が大きかったのはGIGAZINEさんで取り上げて頂いたことかなと(ありがとうございます)。コネも面識もないGIGAZINEさんの目にとまったことは幸運でした。
つまり「運」であり「まぐれ」ですね。実力というよりも。
■結果は成功でも、実験は失敗?
さらには、「実験」として、どうだったか。
エイプリルフールが終わって4ヶ月も経とうというのに、いまだに投稿がある。これは仮説と反対の動きです。需要があったのは「エイプリルフールへの参加」ではなく「表紙画像ジェネレータ」のほうではないか。当初の仮説がどれほど正しかったのかと。
もともと「流行ればいいや」という気持ちも強かったので、あまり「実験」に拘らなかったのです。よって、設計として実験のパラメータをきちんと分離できていなかった。だから解釈の困難に陥っている。
エア新書は「流行って良かったね(結果の成功)」という一方で「でも仮説が正しかったのかどうか分からないよね(過程の失敗)」となってしまったわけです。実験としては失敗例です。よい子(社)の皆さんは真似しないでくださいね。
■ユーザ価値テストとは
- ユーザにとって価値があるだろうと思われるものを考える(プロダクトの企画)
- その価値の中核をなす部分を取り出す(本質的価値の仮説)
- その「本質的価値」に、なるべく要素を足さず、小さな規模で実験し、結果を定量分析する(仮説の検証)
この一連の実験を「ユーザ価値テスト」と呼ぶことにしました。「ユーザにとってのサービス価値を検証するためのプロトタイプによるモニターテスト」を略して「ユーザ価値テスト」と称しています。
エア新書の場合は、むしろ「事業のミニチュア(小規模模型)」をつくって試したようになってしまったので「ユーザ価値テスト」というよりはフィジビリになってしまったわけです。
「フィジビリとしては成功でも、ユーザ価値テストとしては失敗」といったところです。ですから、フィジビリとしての成功を活かすなら、これを足場としてさらなる展開へつなげていくことはできます。(その場合、なんの足場もないところからいきなり取り組むよりも、はるかに高い成功確率になります)
■ユーザ価値テストとフィジビリの違い
ユーザ価値テストとフィジビリは「目的」が違うのですね。どういう結果を期待して、その結果をもとにどうするか。いわば「試験」と「実証」の違いといってもいい。
- ユーザ価値テスト(試験)
- 実験室での実験のように、なるべく余計な影響を排除して、原因(独立変数)と結果(従属変数)の相関を調べるための実験。なるべく最小の要素で実験する。結果により仮説が肯定されれば、それを「足場」に論理を展開していくことができる。(企画まるごと検証するのではなく、企画の構成要素についての小規模な実験)
- フィジビリ(実証)
- 事業のミニチュアであって、流行ったらそのまま拡大すればいい。小規模な予算でダメモト(ダメで元々)で試して、もし反応がよければ予算を突っ込んで拡大するというもの。小規模といっても「単体では意味をなさない部品についての実験」とは違い、「小規模でも総体としてユーザにとって価値があるまとまり」で実証すること。
これを意識して使い分ける必要があるかなと。
ビジネスのすべては不確実性の中にあります。確実なものは何もない。手探りで一歩ずつ進むしかない。足場を少しずつ固めながら。暗闇の中で遠くまで飛ぼうとするのは危ない。一歩先は崖かもしれない。
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