良いCTOは金の草鞋を履いてでも探せ

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ネットベンチャーに必ず「天才エンジニア」がいる理由 (ZEROBASE BLOG)に下記の指摘を頂きました。ありがとうございます。

サバイバル・バイアスでしょ?そういうスター選手がいなかったらベンチャー起こさないし、起こしたとしてもいなかったらすぐ立ちいかなくなる。

「天才エンジニアがいるベンチャーは生存確率が高く、よって私が出会う可能性も高い」という生存バイアスですね。その存在は否めません。

ただ、私の仕事がら、あるいは紹介や交流会や勉強会などで、会社設立直後の社長に会う機会は多い。結果的に1年以内になくなる会社ですら、まだ生存している時期に出会っているということです。また、前回の記事はそういう創業直後の社長さんを念頭に書きました。

そういう社長さんが「我が社の天才エンジニア」として紹介する人に「え?」と思ってしまったことが何度かある。これが前回の問題提起に繋がっています。

一定期間「生存」したベンチャーのCTOは、じっさいに優秀で「天才」である確率が高いと感じます。これは常識とも一致するし、妥当性の高い話かなと。

本件で問題にしているのは「創業直後」で「非エンジニアの社長」が「天才」と称しており、私としては「ホントに?」と思ってしまったケース。こういうケースについて、その原因は何だろうか、というのが前回の分析でした。

もちろん、サンプルが少なく、定量化しておらず、客観的ですらない観測データにもとづく議論が、統計的に意味あるはずもなく。

では何のための議論か、というと、これから起業する人や、起業家を見極める立場の投資家に対して、「こういう落とし穴があるのでは?」と注意喚起、情報共有、議論するのが目的です。データにもとづいた統計的な議論ではなく、観察に基づくインサイトから原理原則に迫る議論をしたいのです。

投資家向けにもっと実用的な言い方をすれば「ベンチャー社長の言う『我が社の天才エンジニア』はあてにならないから疑ってかかったほうがいい」という事です。

さて、頂いた指摘に話を戻すと、「天才エンジニアが見つかってから起業するのではないか」という指摘は、たしかに有力です。ただ、その結果が「実際には天才エンジニアではなかった」場合を説明するためには「1.能力を判断する能力の不足」「2.自己評価のバイアス」で十分だと思います。

前回は「人は見たいものしか見ないのです」と書きました。ちょっと言い換えてみましょう。

起業したい人にとっては、身の回りのエンジニアが全員「天才」に見える。

ありえそうなことでは?

経営者は儲かるビジネスと儲からないビジネスを見極められる目を持っているかどうかが重要なんだ。

ところが、多くの人は新規事業を考える際に、残念ながらダイヤモンドの原石を見つけようとする努力をせずに、目の前にあった石ころを磨きはじめる。

『成功者の告白』神田昌典

これは人材採用についても言えることかもしれません。(起業家のみなさま)

良いCTOは金の草鞋を履いてでも探せ。

というのを心がけてみてはいかがでしょうか。(これからネットベンチャーを起業するみなさま)

ここは「良いエンジニア」ではなく「良いCTO」なのですよ。個人としてどんなに技術力が高くても関係ない。そのベンチャービジネスにとって必要な「技術」とは何かを経営視点で判断できる人をCTOと呼んでいます。極端な話、じぶんで手を動かす必要もないし、非常勤社外CTOでもいい(その役割だけに限定すれば、の話)。

問題の根本を解決する方法として、エンジニアではない社長がネットベンチャーを創業するなら、ビジネスセンスのある技術者をCTOとして招くという方法があるでしょう。そのCTOに「自社に必要な技術力」を定義してもらうのです。

via ネットベンチャーに必ず「天才エンジニア」がいる理由 (ZEROBASE BLOG)

だから、「天才エンジニア」がいても「CTO」がいなければ経営としては立ちゆかないケースだってありえます。本件とは少しずれますが。

今回は以上です。私自身、リサーチ・リテラシーを高めないといけないと思っていますので(本件はまともなリサーチではありませんが)、今回のような指摘は有り難いです。ちなみに『「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)』『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学』という本、とても面白いですね。

■続編

チーフ・テクノロジ・オフィサ(CTO)ってチーフ・エンジニアと違うの? (ZEROBASE BLOG)

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このブログ記事について

このページは、Ishibashi Hideto (石橋秀仁)が2008年8月29日 19:41に書いたブログ記事です。

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