Twitterはアプリケーションでありつつも、むしろインフラのレイヤーでその地位を確固たるものにしようとしているように見えます。それはおそらく妥当な戦略ですが、迷走している部分もあります。
アノテーション機能
ツイートにアノテーション(Twannotationsというメタデータ)を持たせることが可能になるそうです。市場競争の結果(自生的秩序)として標準が定まっていく、デファクト・スタンダード指向の緩い規格提案のようです。microformatsを連想させます。
アノテーション機能の重要性はこれから用途が模索されるなかで明らかになっていくでしょうが、一つ指摘すれば、これはインターネット・メールにMIME(Multipurpose Internet Mail Extension)規格が拡張されたのに匹敵するインパクトです。メールにファイルを添付できるのはMIME規格のおかげですし、HTMLメールも同様です。また、MIME規格はHTTPの基礎にもなりました。メールのリッチ化にとって重要な規格だったわけですが、まさにツイートのリッチ化においてアノテーション機能は重要な役割を果たすでしょう。
さらに重要なのは、アノテーションには何を入れても良い、とKrikorianが書いていることだ。Twitterはデベロッパーが始めるにあたってある程度推奨することはあっても、制限は一切しないつもりのようだ。
Twitterプラットフォームの長期戦略
また、Twitterプラットフォームの長期戦略概要が発表されました:「長期的ユーザー体験が第一」―Twitter、サードパーティーのタイムライン内広告を全面禁止
Twitterはまた注釈(アノテーション)機能のローンチに伴って、Twitterプラットフォームを利用するスタートアップにとってきわめて大きなビジネスチャンスがもたらされるはずだと指摘した。
スパム広告によりユーザー体験が損なわれることを禁止するのも、通信会社が回線品質を気にするだけでなく、その内容まで責任を持とうとするようなものです。携帯電話会社が青少年に不適切なコンテンツのフィルタリングをするような。
Twitter〈プラットフォーム〉という自己規定
この「アノテーション機能」と、今回の「長期戦略」の発表、いずれも〈インフラ〉や〈プラットフォーム〉としての自己規定が現れています。Twitter社はあくまでプラットフォーマー。その上のレイヤー(アプリ)については他者(サード・パーティー)に任せる、というスタンスです。
〈プラットフォーム〉に徹しきれない危うさ
ただ、気になるのは、これと相反する動きです。Twitterは公式iPhoneアプリをリリースしました(TweetieというiPhoneを買収したのち改造して)。これは〈プラットフォーマー〉という公式の(あるいは客観的な)立場を、自ら揺るがせるものです。iPhoneやAndroid向けにTwitterアプリを開発しているサード・パーティーは不信感を抱きかねません。公式アプリの不在がサード・パーティーの公平な競争環境の基礎だったのです。私ならサード・パーティーの疑心暗鬼を払拭するために、早急な公式見解を発表するでしょう。今後のTwitter社の発表から、こういったことも読み取れるはずです。
プラットフォーム化の帰結
将来的にはTwitter上に新たなプラットフォーム・オン・プラットフォーム(つまりTwitter上の何か;something on Twitter)が登場する可能性があります。これはアーキテクチャの生態系がそのように発展してきたし、おそらくこれからもそうであるから、という予想です。
そして、「上」のレイヤーに新たなプラットフォームが登場しても、Twitterの事業が致命的な打撃を受けるわけではありません。急成長を終えて成熟・衰退していくでしょうが、長期的には「金のなる木」として利益率を高めていくことも可能でしょう。この場合、Twitterにとっての脅威は、自身と同じレイヤーの競合、具体的にはFacebookなどです。また別の可能性としては、P2P型などの分散型プラットフォームの登場により、自らがthe Twitterという絶対強者からone of Twitter platformsに格下げ(相対化)されることです。
ともあれ、今後Twitterと連携するアプリケーションやプラットフォームを開発していくならば、Twitterの長期的戦略やロードマップを意識しておいたほうがよさそうです。
