人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない (Professional computing series (別巻3)) Jr.,フレデリック・P. ブルックス, Frederick Phillips,Jr. Brooks  
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ソフトウェアプロジェクト管理・ソフトウェア開発論の古典『ソフトウェア開発の神話』(企画センター刊、絶版)を改題。論文「銀の弾などない──本質と偶有」を再録し、数章を加えた原書発行20周年記念増補版だ。

著者のブルックスは、IBMにおいてOS/360メインフレーム用のオペレーティングシステム開発マネジャーを経験し、現在はコンピュータサイエンス学科の大学教授。本書では、OS/360用のオペレーティングシステム開発で生じたさまざまな問題をもとに、プロジェクト管理の問題点と今後どのようにすべきかを論じている。

『人月の神話』はすでに古典と呼んでもよいほど有名な本だ。もし、この本のタイトルを知らなくても、ソフトウェア開発にかかわっている人であれば「ブルックスの法則」は聞いたことがあるはずだ。ブルックスの法則の中で最も有名なのは、「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけだ」というものだ。

原書は1975年に出版され、その後長い間読み継がれてきた。これは、ソフトウェア開発における問題は、本質的には変わっていないことを意味している。ブルックスの言葉はさまざまな書籍でも引用され、賛同あるいは反証が示されてきた。さらに本書では、ブルックスのもうひとつの衝撃的な論文「銀の弾などない」(1986年発表、IEEE COMPTER誌の1987年7月号に再録されている)も第16章に収録されている。この論文では、「ソフトウェアの生産性をひとりでにもたらすようなプログラミング技法は今後10年間は登場しない」と予言し、議論を引き起こした。この論文を含むブルックスの主張は、その後のコンピュータおよびソフトウェア技術の急速な発展により、一部は誤認であったことが著者自身により認められている。だが、その一部を除く大半は今でも成り立つものだ。プロジェクト管理に関心があるのであれば、一度は読んでおきたい。

第17章から第19章は、増補版刊行にあたり新たに書き下ろされたもの。ここでは、初版刊行以降の識者のコメントや著者の新たな論考(ウォーターフォールモデルの誤りなど)、あるいは誤認の訂正が示されている。その中では、ケイパー・ジョーンズ(『ソフトウェア開発の定量化手法』の著者)やトム・デマルコ(『ピープルウエア』、『デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則』の著者)やエドワード・ヨードン(『Death March』の著者)などに対するコメントが掲載されている。(遠野 諒)
—このレビューは、同タイトルの増訂版のレビューから転載されています。

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デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則 トム デマルコ, Tom DeMarco  
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ソフトウェア開発を成功させるためのプロジェクトマネジメントにおける101個の法則を、物語を展開させながらわかりやすく解説した1冊だ。本書の著者は、生産性管理やプロジェクト管理、企業文化などに関する講演、執筆、コンサルティングなど幅広い活動を行っているトム・デマルコ。『ピープルウエア』(原題『Peopleware』)、『ゆとりの法則』(原題『The Deadline』)と本書を合わせた3冊はプロジェクトマネジメントの福音書と言える。

ソフトウェア開発に関わるプロジェクトは何らかの問題を抱えてしまうものだ。その問題はいつも同じわけではなく、過去のプロジェクトでうまくいったところが問題となってしまう。それは、プロジェクトに関わるすべてのことが問題になりうるということを意味する。多くのプロジェクトのリーダーや管理者はそのことにいつも頭を悩まし続けていなければならない。

多くのツール、手法そして概念がその解決策として取り上げられているが、それだけでは解決しない。プロジェクトを形成するのは人であり、プロジェクトマネジメントに人が占める要因は決して小さくないからだ。本書は、その「人」についてフォーカスを当ててプロジェクトマネジメントを語っている。

とはいえ、プロジェクトマネジメントには多くのツール、手法そして概念は必要である。本書で提示された101個の法則とそれらをうまく活用することがプロジェクトのリーダーや管理者にとって重要である。プロジェクトマネジメントについて不安や問題を抱えている、もしくは経験の浅いリーダーや管理者にまず目を通してほしい。(新保康夫)

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ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解 トム・デマルコ  
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トム・デマルコの著作は、どうしていつもこんなにエキサイティングで説得力にあふれているのだろうか。それは、彼がプロジェクト管理において常に人間を中心に見つめ、現場にこだわる姿勢を貫いているからに違いない。

本書は、『ピープルウエア』(原題『Peopleware』)、『デッドライン』(原題『The Deadline』)などの著書で知られ、マイクロソフト、アップル、ヒューレット・パッカード、IBMなどのコンサルタントを務めるトム・デマルコが、プロジェクト管理における「ゆとり」の重要性と、これまでの効率重視の管理方法への異論を唱えたものである。

デマルコは、生産現場のブルーカラー労働者を対象に開発された管理手法は、今日の知識労働には当てはまらないと指摘する。「人間は時間的なプレッシャーをいくらかけられても、速くは考えられない」というリスターの法則を引用し、管理者がプレッシャーをかけることの無意味さを指摘したり、強気のスケジュールや時間外労働が結果的に失敗に終わる理由を述べたりするくだりは、普段非生産的な管理のもとであえいでいる部下・中間管理職にとって痛快極まりないだろう。デマルコは、このようにプロジェクト管理にまつわる誤解を指摘したうえで、プロジェクト管理を成功に導くために何が必要か、自分なりの考えを示している。

ユーモラスなたとえや衝撃的な事実、すべて実名を挙げてなされる痛烈な批判は、管理者に新たなプロジェクト管理の視点を提供してくれるに違いない。知識労働に携わるすべての人におすすめしたい1冊である。(土井英司)

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ヒューメイン・インタフェース―人に優しいシステムへの新たな指針 ジェフ ラスキン, Jef Raskin  
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昨今のオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムの巨大化は、私たちコンピュータユーザーに、いったい何をもたらしてくれたのだろうか。やりたいことは単純なのにその方法が見つからず、ヘルプを開いたり人に聞いたり四苦八苦する、こんな経験は誰にでもあるだろう。メーカーが喧伝する「人にやさしい」といううたい文句からは、ほど遠いのが現状のようだ。

本書のタイトル『ヒューメイン・インタフェース』とは、人にやさしいユーザーインタフェースのこと。ジェフ・ラスキンは、Macintoshプロジェクトのプロジェクト・リーダを努め、Macintoshのインタフェースのコンセプトを方向づけた伝説的な人物。1ボタンマウスの生みの親でもある。この著者が、真に「人にやさしい」インタフェースの在り方を語ったのが本書である。

本書はちまたにあふれるユーザーインタフェースデザインガイドではない。認知工学の手法を用いて、人間が機械や道具を操作する際の意識の働きや、操作の習熟が行動に与える影響など、マン・マシン・インタフェースの本質的な問題を、科学的なアプローチで解説しており、目からうろこが落ちる思いである。また、現在最も成功しているグラフィカルユーザーインタフェースが宿命的に持つ問題点を暴き出している。私たちは悪くなかったのだ。

ユーザーインタフェースの今後の方向性を示唆し、未来形を語った本書。ソフトウェアデベロッパーのみならず、コンピュータと人間とのかかわりあいに興味を持つエンドユーザーにも、新たな知見を提供してくれるに違いない。(福島紀行)

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