オンライン・メディアのアーキテクチャをゼロベースで考える
09-03-11
posted by
石橋秀仁
オンライン・メディアにはIA(情報アーキテクト)が必要です。UI(ユーザ・インタフェイス)デザインも必要です。紙媒体のエディトリアル・デザインやアート・ディレクションに該当するのがUIデザイン、IxD(インタラクション・デザイン)、UxD(ユーザ・エクスペリエンス・デザイン)ではないでしょうか。
メディアにもアーキテクチャがある。だからアーキテクトが必要だ - Blog on Publickey
これら全体を整合性のある形でひとまとめに考えることは、メディアのアーキテクチャを考えることにほかなりません。しかも、いちどアーキテクチャを決めたからといってそれがずっと続くことはありません。毎週のように微調整を繰り返し、必要ならば半年ごとにリニューアルを繰り返したとしてもおかしくないのです。そしてその作業の大半が、実は編集者とではなくエンジニアと対話することで実現されていくのです。
ゆえに、オンラインメディアの責任者に求められる仕事はアーキテクトとしての役割が重くなります。記事すなわちテキストのクオリティ管理だけでなく、コード、つまりサイトを構成するHTML/CSSやCMSを含むサイト全体の仕組みに対するクオリティ管理もできなくてはなりません。
紙と違って「技術的に確立されていない部分がある」「設計の自由度が高い」といった違いによるのでしょうか。この状況を「アーキテクトがいないといけない」という義務・コストとして悲観的に捉えると、面白くない。「あれもこれもできる」という可能性・投資だと前向きに捉えると、面白いです。
私などは、Ajaxバリバリ使ってusability/readabilityの向上を図ることでRSSリーダに対抗できる、といった想像をします。リアルタイムでリアクティブなUIによって、滞在時間、セッションあたりページビュー(直帰率)などを改善できるはずです。ユーザのフィードバックを容易にして読者参加を促したり、広告のクリックや熟読度の向上を図ったり。Ajax時代のWebデザインは、オンライン・メディアの媒体価値向上に貢献できるはずです。
ただ、これを考えていくと、広告の制約にぶつかります。収益の大部分を占める広告の都合で、メディアのアーキテクチャが制限される。これはビジネスとして仕方ないことですが、それにしても理不尽な制約は多い。いわゆる「Ajaxではページビューが減る」という議論や、読みやすさよりもインプレッション・ボリュームのためにページを分割するデザインなどです。
これは本質的でも理想的でもない議論であって、本当に考えるべきは「広告指標のほうが、技術の進歩、オンライン・メディアの実態に合っていない」と考えるべき。イノベーションの余地があります。
実際に「次世代の広告指標を開発する」というR&Dプロジェクトに参加したことがありますが、その経験から言って、PV・Impsに代わる広告指標の可能性は大きいと考えています。というよりも、ディスプレイ広告やタイアップ広告は10年前から、コンテンツ連動広告は5年前からあります。それ以降のイノベーションが無いじゃないですか。これはチャンスと捉えたい。
追記:
HTML 5でセマンティックWebが進むと困る人たち - Blog on Publickey
僕もこのHTML 5の仕様を知ったとき、商業メディアに感情移入している一人としてこう思いました。「あ、これで本文だけ抜き出されたら広告が見られなくなるじゃん」と。
残念ながら現在のオンラインメディアの収入源のほとんどは記事と同じWebページ上に並べられた広告です。それが読者に見られなくなるようなテクノロジーは、代替となる収入源がないかぎり導入は難しいお話。








言及&トラックバックありがとうございます。ビジネスチャンスと捕らえることはごもっともですね。実際にはアーキテクトがいてもビジネス上の制約や組織内のロジックの制約を受けるので、それをチャンスと考えられるかどうかは組織次第というところはありますよね。
11 Mar 2009 | by: jniino
コメントありがとうございます。
> 実際にはアーキテクトがいてもビジネス上の制約や組織内のロジックの制約を受けるので、それをチャンスと考えられるかどうかは組織次第というところはありますよね。
それを突破できるのが「代表取締役 メディア・アーキテクト」というわけですよね :-)
11 Mar 2009 | by: 石橋秀仁