最終更新日
3月20日

ニコニコ動画の「体験」を自己分析

 

posted by
石橋秀仁

この記事を書いたのは8月20日です(おっぱっぴーな人の事件があったときですね)。ニコニコ動画で「弾幕」に参加するのは楽しい。その体験(experiene)を、ちょっと分析してみました。

※「弾幕」とは(ニコニコ動画 - Wikipediaより引用)
多数のコメントが溢れかえり、映像部分が見えなくなる場合がある(このコメントの洪水は一部では「弾幕」と称されている)

まず、議論の大前提として「ニコニコ動画は、受動的に鑑賞するだけよりも、コメントをして参加したほうが、はるかに楽しい」という点をあげておきます。未体験の方には、下記の文章がピンとこないかもしれませんので。

さて、ニコニコ動画に参加する行為の、どこが快感だと思ったか。

脳とコンソール(I/O)とサーバと、その先にいるユーザ達とも、神経回路と通信回路が直結されて、相手の神経回路にまでつながっているような感じといいますか。おおげさですが。

※コンソール(I/O)とは
ここではキーボード、マウスなどの「入力装置(Input Devices)」と、ディスプレイなどの「出力装置(Output Devices)」のことを指しています。

webservice_system_modeling_2d.png

PC やネットワークの存在を意識せず、人と人が対面でバカを言い合ってるというか。比喩的に使われるところの「脊髄反射」というか。

ともかく、「自然」というか、「不自由さが少ない」というか、笑った瞬間につっこめる、という感じですね。

これはコンピュータの話でわかりにくければ、「衛星中継で漫才ができるか」と考えてみてください。片道3秒の遅れがあるときに、果たしてツッコミが可能かどうか。(と関西人でない私が書くといろいろつっこまれそうですが)

それが「インタフェイスのストレス」というもの(の一面)です。(正確には「ストレス」を構成するもののうち、「遅延」という要素をとりあげています。それ以外にもあります。「誤差」とか「撹乱(品質)」とか「コスト」とか)

さて、「ニコニコ動画でのコミュニケーションが快感だ」という話にもどります。

これは、ニコニコ動画のインタフェイスのストレスが少ないことと無縁ではありません。

※ストレスが無いわけではないです。キーボードを打つ、というのが、タイムラグになり、ストレスです。文字を入力している間にも、刻一刻とムービーの再生は進んでいきますから。

まあ、ともかく、ストレスがゼロではないにしろ、かなりストレスが低いです。

それにより「コミュニケーションの疾走感」のようなものが立ち上がります。

これは「ニコニコ動画に参加する快感」の一要素だと思います。

もう一つは、これ対をなすところの「笑いどころ・ツボの共有感・一体感」です。ひとことでいえば「共有感」です。「時間」「話題」「感情」の「共有感」です。

この「ニコニコ動画に参加する快感」は、「共有」つまり「コメント」するうえでの「ストレス」が小さいほど、より感じられると思います。

※「より感じられる」の意味は「増幅される」ではなく「損なわれない」のほうです。増幅率ではなく、減衰率のほうです。

ちなみに、「ニコニコ動画に参加する快感」を構成する重要な要素がほかにもあるかもしれません。気づいたら教えてください。→追記(ページの下へジャンプ)

ともかく、「UIストレスの低さからくる、コミュニケーションの疾走感」と「体験共有感」は対です。

これが、わりと原始的(よって中毒性)なニコニコ動画の快感を生み出している要素のひとつかなあと思っています。


そのほかに思ったこと:

コミュニケーションの疾走感」というのを、インタフェイスのストレス(の低さ)とう観点からとらえてみました。

そこで、コミュニケーションの「情報内容」ではなく、
 ・タイミング・頻度 [packet/sec](ポアソン過程?アーラン分布?)
 ・パケットサイズ [bit/packet]
 ・流量 [bit/sec]
というファクターにだけ注目してみても、けっこう面白いことが分かりそうな予感です。

※シャノン的に分析できないか?


という観点で、ウェブサービスのシステムモデルなどという記事(与太)を書きました。続きをいつ書くか不明になりつつあるのは、基本にもどってウィーナーを再学習しようかと思ったので。(いや、あの難しい本を読むのに時間がかかりそうですが・・・)


当方、情報理論の専門家ではないので、おぼろげに鉱脈がありそうな気がしているだけなのですが。
研究者さん、学生さん、共同研究や議論をしたい方はコンタクトしてください。
うちのオフィスでブレストしましょう。


なんとなく引用:

タイムラインを共有 - collisions.dotimpac.to

PodcastでもDVDでもコンサートでも、ブートプロセスでもコンパイルでも、鉄道でも飛行機でも、特定の時間継続を持つメディアがあればなんでもバーチャルシンクロできるわけだ(ゲームはプレイヤーによって展開が変わっちゃうからムリだけど)。すごく可能性を感じる。いろいろ考えられるなー。

追記

fladdict.net blog: ニコニコ動画の最もすばらしい点

コミュニティを担ってる作り手を学習させるインフラを作れたのがニコニコの成功要因

とても重要な指摘です。ちなみに、この記事の読者が誤解するとあれなので補足すると、

ニコニコ動画上で様々なコンテンツを作る為のノウハウが、ユーザーの手によって発案され編集されアーカイブ化されていってる点。

という点と、

どんなにサービスを高機能にしても、コンテンツの担い手の為のインフラも用意しないで、さぁお前ら面白いコンテンツ作って投稿しろっていっても、そりゃあ無理なんじゃないのかなぁと思いました。

という点は、独立していると考えています。「ユーザが勝手に作ってくれる」のは素晴らしいことだけど、それとは別に運営者みずからそういうコンテンツ(あるいはインフラ)の整備をするのは有益なことです。

前者はコミュニティ運営をよく分かった人(いわずもがな)ならではの成果だと思います。「コミュニティを担ってる作り手を学習させるインフラ」のはハードルがすごく高いので、かならずしもそれを真似しようとしなくてもいい場合も多いと。

(すごく理想を高くいえば、やはり目指したいという心情は私にもありますが、ブログで多くの人に対して言ううえでは、そこまで目指すのはかならずしもその読者個々人のサイトには必要ではないかもしれないので、なんとなくお茶を濁したい)

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