最終更新日
4月22日

アーキテクチャのライフサイクル(2)

 

posted by
石橋秀仁

アーキテクチャのライフサイクルを書いて、勢い余ってTwitterのほうにつぶやいていたので、それをまとめておきます。

"Mac Operaでも動作確認しろ" というのがWeb制作者への "Bad Request" だったりして、というのは冗談ですが、サイトがブラウザにあわせる現状から、ブラウザがWeb標準(という厳密な標準規格)にあわせる世の中が来るのは何年後でしょうね

ポイントは「Web標準」という厳密な標準規格が、ISO/JIS的に作成できるのは、いつか、という話。とはいえ、それって「技術の進歩が止まる」前提なので、なんともはやですよ。新しい技術(例:Flash/Silverlight/canvasタグ)が出て、標準がフォローする、逆ではない

object/embedタグというインタフェイスで切り離されると、プラグイン(というモジュール)側でのイノベーションがブラウザとは別個に進む。しかし、ブラウザの標準化から漏れる「規格外」の領域になってしまいます。(アクセシビリティにおけるFlashやSilverlightの対応はブラウザ技術より遅い、と言えるならば、それが一つの例になります)

学校ではJIS準拠のネジ製図とかしてましたけど、あんなの進化止まってるから標準化されてるわけで(もちろん特殊なハイテクネジが日々進化してるだろってのは承知してますよ、ええ

標準規格と技術進化という意味で電球 (light bulb)という規格・インタフェイスは面白い。何十年も変わらない標準規格(インタフェイス)に新しい電球形蛍光ランプや電球形LEDランプをハメて使うことができる。モジュール型アーキテクチャでモジュール内イノベーションが起こる例

一つのプロダクトのアーキテクチャが相互依存型(垂直統合型)からモジュール型(水平連携型)に移行すると、モジュールごとに特化した専門サプライヤーが出現する可能性があります。バリューチェーンで言えば、一社が統合していた状態がバラされ(アンバンドル)、複数社によって分業される。そのとき、「バリューチェーンのどこに金が落ちるか(利益率が高いか」というのは重要なテーマです。

(以下の展開について、私は電球のことなどまったく詳しくないので、あくまで考え方の例ということで、ご了承ください)

電球というプロダクトのアーキテクチャの内部で、蛍光ランプやLEDランプというモジュール内イノベーションが起きると、それらは当初、相互依存型になる場合もあります。蛍光管やLEDのメーカーにとって電球という新しい用途の引き合いがあったときに、従来の製品がそのまま使えない場合は、電球メーカーのニーズ(発注仕様)に応じて開発・製造・納入することになります。この段階では、実質的に会社の違いと関係なく、最終製品(電球)メーカーが製品全体の仕様をコントロールしている点で「相互依存(垂直統合)」の状況です。

そこから時間が経過して、電球の性能が十分になってくれば、電球メーカーにおけるコスト削減努力などから、そこに使われる蛍光管やLEDが共通部品化されてくる可能性があります。メーカー間での部品共通化提携なども起こりえるかもしれない。逆にサプライヤーが努力して同じ部品を大量に作ってコストを下げることで、メーカー側も「わずかな性能向上のためにカスタマイズするより従来の部品を使おうか」となって、どんどん部品のバリエーションが減り、集約されていく。

このように、「性能が十分になっていけば、自然とモジュール型アーキテクチャへ移行する」というのが、破壊的イノベーション理論のポイントです。

このようにしてモジュール型への移行が起こったとき、最終製品である電球メーカーは、コモディティ化した部品を組み合わせて(アセンブル)自社のブランドで売るわけですが、価格競争から逃れられない場合もあり得る。そこで例えばブランド戦略などの成熟産業・成熟市場における利益確保策が重要になってくる。あるいは集客・販売力で勝負するとか。(例:デジカメ市場、デル)

一方のサプライヤー側というと、キーコンポーネント(最終製品全体の性能を決定するような主要部品)のサプライヤーにとって、大きな利益を手にする機会が生じる。スケール・メリットもあります。どんどんサプライヤーが集約され、独占が生じる場合がある。(例:PC市場のCPUサプライヤーであるインテルなど)

さらにいうと、サプライヤーがバリューチェーンを前方統合すること、つまり最終製品メーカーからどんどん仕事を請け負う(インソーシング)ことによって、しまいにメーカーの立場を食ってしまう、といったことすら起こりえる。(例:PCメーカーとしてのASUS)

しかし、それをやることは、同時に、自分がバリューチェーンの後方から攻められる最終製品メーカーになることでもある。。。

と、話は尽きないのですが、きりがないので、このへんで。

ちょっと思うのは、日本のネット企業って、こういう戦略論をないがしろに、標準化とかプラットフォーム戦略とかやってる気がするんですよね。。。まあ、知らないというより、知っててできない、組織的・文化的なしがらみとか、そういうことでしょうか。なんにしても、非常にもったいないというか。そのへんアングロサクソンはしたたかですよね。。。

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