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Designing Connected Contentの監訳 情報アーキテクチャの新しい設計方法論「デジタルプロダクトの長期的な成長を支える構造化コンテンツ」

2022-02-08

Designing Connected Contentのカバー写真

当社代表の石橋秀仁が情報アーキテクチャの設計方法論 “Designing Connected Content: Plan and Model Digital Products for Today and Tomorrow” (Carrie HaneとMike Athertonの共著)の日本語版『DESIGNING CONNECTED CONTENT デジタルプロダクトの長期的な成長を支える構造化コンテンツ』を監訳しました。

これから情報アーキテクチャを学び始める人にとっては、

と並んで、最良の入門書になるはずです。

また、情報アーキテクチャを、かつての流行期(ゼロ年代前半ごろ)に学んだのち、もはや「時代遅れ」の分野だと思い込んでいる人にこそ、本書を手にとって頂きたいと思います。当時は基本的にデスクトップPC向けのウェブサイトだけを考えていれば済む、牧歌的な時代でした。しかし、現代にはスマートフォン、アプリ、API、ヘッドレスCMS、オープンデータ(LOD)、人工知能(AI)もあります。この本は、それらの新技術にも対応した、新時代の情報アーキテクチャ論です。

監訳者前書き

本書は 『Designing Connected Content』(マイク・アザートン:Mike Atherton、キャリー・ヘイン:Carrie Hane著/2017)の全訳です。本書のテーマは、良質なウェブサイトやアプリなどのデジタル・プロダクトを「コンテンツ・ファースト」の考え方で開発する方法です。ドメイン調査やコンテンツ設計から、コンテンツ管理システムの実装まで、開発プロセスの全体像が一冊でつかめる内容となっています。また、技術的な観点にとどまらず、ビジネスの観点、チームワークの観点、倫理的・公共的な観点からも論じられています。様々な職種の人たちがコミュニケーションする上での「共通言語」になりうる一冊、いわば現場の「バイブル」として活用していただけるはずです。

本書の対象読者は、デジタル・プロダクトの企画や開発、およびコンテンツの制作に携わる人たちです。たとえば、情報アーキテクト、ユーザー・エクスペリエンス専門家、ウェブ・デザイナー、インターフェイス・デザイナー、ソフトウェア・エンジニア、ウェブ・ディレクター、コンテンツ・ストラテジスト、コンテンツ・ディレクター、プロダクト・マネジャー、プロダクト・オーナーなど、さまざまな職種の人たちの役に立つことでしょう。

もし技術的・実践的な細部に関心がなくても、第1章、第2章、および第10章は読んでみてください。デジタル・コンテンツに携わる人々に共通の関心事について語られています。コンテンツの現場にありがちな問題とは何か。それはビジネスにとってどんな意味を持つか。その問題への有効なアプローチ(もっとよいやり方)と、その先にある可能性とは何か。分かりづらいところもあるかもしれませんが、全体としてはビジネス書感覚で読めるはずです。

本書はオブジェクト指向プログラミング(OOP)の伝統を踏まえています。そのことはエリック・エヴァンス(Eric Evans)による『エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計』(2011)が参照されていることから明らかです。また、日本の読者の中には『オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理』(ソシオメディア/2020)を連想する人もいるでしょう。いわば本書は、コンテンツ専門家や情報アーキテクトに対して、エンジニアの方法論であるオブジェクト指向分析設計や統一モデリング言語(UML)を手ほどきする内容となっています。

本書は情報アーキテクチャ(IA)の本でもあります。主要な実践事例(ケース・スタディ)として登場するのは、著者らが情報アーキテクチャの国際会議「IAサミット」のウェブサイトを担当したエピソードです。また、この分野の嚆矢となったルイス・ローゼンフェルド、ピーター・モービル共著の『情報アーキテクチャ入門 ウェブサイトとイントラネットの情報整理術』(通称「シロクマ本」)を継承しつつ乗り越えること(Beyond the Polar Bear)が宣言されています。アビー・コバート氏がこの後の序文に書いている通り、本書によって情報アーキテクチャ論は再活性化のきっかけを得ました。情報アーキテクチャを「時代遅れ」だと思っている人にこそ本書を手にとっていただければ幸いです。日進月歩のデジタル分野にも、時を超える普遍的な設計原理がありうるのだと理解されるはずです。

本書を通じて、著者らがワールド・ワイド・ウェブの価値を確信していることに感銘を受けました。このような確信を次世代の若いクリエイターにも継承していくことが、ウェブ第一世代の責務だと感じます。ワールド・ワイド・ウェブの開発という仕事を誇りに思える、真摯なプロフェッショナルが育ってきてほしい。本書がその一助となることを願っています。

石橋秀仁

反響

freee株式会社、弁護士ドットコム株式会社、GMOペパボ株式会社の3社において、本書の勉強会を開催して頂きました。筆者はゲスト講師として招待して頂きました。ありがとうございました。

その他、以下のような反響も頂きました。ありがとうございました。

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